<鋼管矢板による仮締切り 概要>
仮締切りとは、河川あるいは海中に構造物をつくる場合に、鋼矢板や鋼管矢板等によって水を締切り、その締切り内の水を排除することにより、陸上と同じ状態で工事を行うためのもので、一般には、工事目的物を安全に、速く施工するための仮設備として設置される。したがって仮締切工は、一種の土留め工であると言えるが、土留め工と異なるところは、土圧・水圧などの外力に耐える強度をもつと同時に、水密性を有する構造が要求されることがある。
また、鋼管矢板における一重締切り工法は、自立式と切ばり式があり、切ばり式の場合、水深5〜10m程度の比較的地盤のよい所に用いられる。
<現場説明>『総合施工:河津・後藤・丸三共同企業体様』
静岡県下田市の中心に稲生沢川という河川があります。ちょうど伊豆急下田駅の東側を流れるこの河川には、国道135号の橋として「下田橋」があり、その南側に下田市民の橋である「みなと橋」があります。
この「みなと橋」の老朽化に伴う架け替え工事(新たに造り変える工事)が今回の現場です。
この現場での当社のお仕事は、仮締切りに用いられる鋼管矢板のセクション(継ぎ手部)の注入工事です。
←セクション
どうしてこのような注入工事を行うのかと簡単に説明すると、上記の概要にもあるように、鋼管で締め切って水を排除し、あたかも洗面器の中で橋の基礎を作りたい時に、鋼管と鋼管の隙間から水が流れ込んできてしまっては、いつまでたっても工事ができません(笑)。
そこで、このセクションの部分に何かを詰め、水の流入を防ぐ訳です。(鋼管を100%密着させての建込みは不可能なため、このような継ぎ手方式が考えられたのだと思います。)
1)作業全景
2)鋼管矢板
3)セクション(継ぎ手部)
4)高圧洗浄
今回のこの現場では、全長22m程度の鋼管が使われ、海水の下の地面(地山)に突き刺さっております。セクションも同様で中には地面と同じ土砂が詰まっています。
この土砂を吹き飛ばし、わざと空洞をつくることによって、セクション内部の注入ができるようになります。
5)グラウトジャケット
縦には強く、横に拡がる細長い袋です。この袋をセクションの中にいれ、この中にグラウト材をいれる訳です。
6)グラウトジャケット ウエイト取付
このようにウエイト(重り)をつけないと、セクションの狭い隙間には入っていきません。
7)グラウト材製造状況
今回の配合は、基礎工事が終了した時に鋼管を撤去する兼ね合いから、低強度モルタル(0.1〜0.2N/mm2程度)を混練。
8)注入
グラウトジャケットにグラウトホースを入れ、下から徐々に流し込み、注入充填していく。
簡単なようで、なかなかコツのいる注入工事です(笑)。
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